足のトラブル

偏平足

文明の進化によって生まれた足のトラブル

濡れた足で板などに上がると、外湾だけがくっきりと弧を描いている足型と、まるで靴底のようにべったりと跡がつく足型とに分かれます。人体の構造的には、もちろん前者が正常で、後者の場合はとくに「扁平足」と呼んで、はっきりと区別しています。
この中間の人もいるわけですが、一般的に扁平足であればあるほど、疲れ易いということが言われています。

むかし、日本がまだ貧しかったころのこと。庶民は下駄や草履を履いて暮らしていました。
その当時は、ほとんど扁平足が問題にならなかったそうです。
ところがだんだん世の中が豊かになり、西洋文化が取り入れられるようになると、靴の生活が一般的になってきました。この時代から、日本人の扁平足が目立ち始めたと いわれています。

それをさらに促進させたのが舗装道路。デコボコ道がなくなり、ほとんど足の裏に負担をかけないで歩くことができる時代になりました。
下駄や草履の場合は、足の親指と人差し指でしっかりと鼻緒をはさみ、脱げないように心がけながら歩きます。また道路がデコポコだと、着地のときに足裏の筋肉を、指も含めて縦横無尽に使いきらなければなりません。
これにたいして靴の場合は、ほとんど指の運動は必要ありません。
つまり足の総合的な運動能力の衰えが、扁平足を生み出しているのです。

扁平足には先天的なものと、後天的な原因によるものとがあります。
後天的なものには、さらに外傷性のもの、静力学的な原因によるものがあります。
そのいずれもが、一般的には足の土踏まずがなくなり、いわゆるべ夕足にちかい足裏の形になってしまいます。

このうち、先天的な扁平足は矯正できませんが、運動能力的にはほとんど心配ありません。しかし全般的に疲れ易いということはあり得ます。後天的なもののうち外傷性のものも、矯正は難しいと言われます。

静力学的な扁平足ですが、これは発育時の靴が合わなかったり、 固い床の上で長時間の作業を繰り返す人などに現われます。
最近、更年期を過ぎた肥満型の女性に、この型の扁平足が多く見られるのも、体の重さが負担になっているのでしょうか。

しかしこの型の偏平足は矯正し易く、靴の中に「矯正板」などを入れることによってある程度まで土踏まずを取り戻すことができます。

また面白いデータとして、若いとき短距離の選手だった人などにも、扁平足が多いことが指摘されています。
これも土踏まずの筋肉を使い過ぎた結果かもしれません。

扁平足による疲れは、足だけでなく腰にまで及んで、ときには激しい痛みを伴います。まず強い足指を育て、足全体の運動能力を高めてあげましょう。ケガが心配なら、底の柔らかい、ちょっと幅ひろの靴を選んではかせるのもよいかもしれません。たったこれだけの配慮でも、足指の運動能力は比較にならないほど強くなるはずです。

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